会長報告:今年次第30回 通算第1263回例会

先週は指定休日だったので2週間ぶりの例会になります。ミャンマー訪問された皆さん、おかえりなさい。無事で良かったですね。
所得税の確定申告も残り2週間あまりとなりました。皆さんはもう終わりましたか?
1月24日の日本経済新聞社の朝刊に「マンション節税」防止というタイトルで、いわゆる「タワマン節税」の防止策を総務省と国税局が平成30年1月から講じるとの報道がありました。
建築基準法第20条において、高さが60mを超える建築物は、「建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること」としています。このことから、超高層建築物として区分されています。通常1階分は高さが3m弱なので、60メートルといえば15〜20階に相当するので、それ以上を「タワーマンション」ということみたいです。この記事によると、全国の20階以上のマンションの内、343物件を調べたところ、評価額は平均すると市場価格の1/3程度だったそうです。そこで高層階のマンションの評価額を一定割合増すような方法によって補正する案が出てきています。その前に、評価のことを話します。
財産評価基本通達というものがあります。最近では定期借地権付きマンションもありますが、一般的なマンションの評価は、家屋については占有面積割合に基づく固定資産税評価額に倍率1を乗じて計算した金額によって評価します。土地部分は敷地権割合に基づく路線価による評価。一般に、建物の固定資産税評価は時価の5割から6割程度、土地の路線価は時価の8割程度なので、評価が低くなるわけです。つまり同じ床面積であれば低層階も高層階も同じ評価ということになります。賃貸用にすればもっと低くなります。
このようなスキームは、高層マンションを相続開始前に購入し、相続時の評価を低くして、節税を図り、相続税の申告が終わったら売却するということにあります。平成23年7月に税務当局、国税不服審判所で否認されたケースがあります。
相続人が、無断で生前の被相続人名義で、売買契約を結んで高層マンションを購入し、相続税の申告をした直後に譲渡したケースです。まさにミエミエのケースです。これに近いことはたくさんあるので、税務当局もこれではマズイということで今回の見直しになったと思われます。それよりも億単位で購入できるだけお金を持っているこというもすごいですが、それだけお金が出ていってしまうわけですから、節税だけのためならもったいないことです。
ただ、こうした節税を煽る税理士や不動産業者もたくさんいることは事実です。タワマン節税以外にも究極の節税を指南する人も多くいます。たとえ組織再編とか航空機リースとか、そしてそういった話に煽られてしまう人も多くいます。IBMは良かったですが、ヤフーはダメでしたね。うまい話の対極にはマズイことになりかねない話があるということです。節税ばかり目がいって、実際お金は残りますか!なんの為の節税ですかと言いたいです。まさに本末転倒です。
必要最低限の節税対策は是非やるべきですが、多くの中小企業の社長は節税した額に目が行き、いくらのお金が減ったか、増えたかを見ていない。健全な納税は企業の財務内容を強くするということを知って欲しいと思います。しかし中小企業の社長の中にはこの考えに賛同できないという方もいるでしょう。そういうのは節税大好き、生命保険料は絶対全損がいいという方が多いような気がします。でもそうしたことが会社の財務体質を弱くし、倒産リスクを増やしているケースもあるのですが、なかなか理解してもらえない方もいます。経営者の意識が、変われば経営全体も変わって行くと思いますが、いかがでしょうか?