会長報告:今年次第32回 通算第1265回例会

今日は所得税確定申告の期限です。皆さん申告と納税は済みましたか?税理士に任せきりという方もいらっしゃると思いますが、いまは国税局のホームページを開き、申告書作成コーナーを画面の指示に沿って入力していくと簡単にできます。
先月は市役所の隣の福祉会館で無料税務相談にて10名ほどのe-Tax電子申告をしてきました。自分の申告はe-Taxが始まった次の年度からしておりますが、無料税務相談会場では初めてのことでした。しかしやってみると簡単に申告することができ、やる前の不安はどこへやら。会計事務所の顧問先では100%程度にはなっていると思いますが、一般の方々ではまだ50%程度と思われます。国としてはこの電子申告割合を大きくしたいので、パソコンを設置する箇所をもっと多くしたいと考えていることでしょう。でも正直、会計事務所の所長は普段、細かいことはタッチしていないので、現場作業にはむいていないかもしれないので、そろそろお役ご免にしていただければありがたいと思っています。
さて、平成28年度税制改正大綱が昨年12月に自民党、少し経って与党としての案がまとまり、今国会に提出されていますが、いろいろな問題が出てきましたが、先月29日に衆議院を通過してしまいました。一部大綱と違った部分がありましたが、業界では毎年一部の方々が、自分が一番という感じで税制改正のセミナーを1月始めに開催しています。早く知りたいのはわかるのですが、アピールしたい気にはやる会計事務所のやり方はどうかなあと思ってしまいます。でも、改正事項にもいろいろあって、以前には法律が4月1日以降施行されるということだったのですが、遡求されて1月1日以降に遡って適用されてしまうという問題がありました。皆さんもご承知かも知れませんが、不動産売却損の損益通算の問題です。その人は3月に自分が持っていた不動産を売却し、損失が出て、その年分の確定申告の際に今まで認められていた損益通算をしたわけです。法律では4月1日以降適用されると思っていたので、当然可能のはずです。しかし、裁判では、認められませんでした。その理由が、この件はすでに前年からマスメディアなどを通じて広く国民が知っているはずということで、1月1日以降遡求的に適用されるとして、納税者の訴えを棄却しました。なんともひどい話です。日本経済新聞で特集記事「税金」について掲載されていましたが、そこにはこの世の中、不合理なことばかりという内容が書かれています。確かにそういうことはあるのですが、以前東京地裁民事3部の担当裁判官の藤山雅行さんという方がおられました。行政側には大変厳しい方で、別の見方をすれば納税者らには優しい方といえたかも知れません。たしかに対行政の裁判では95%程度は負けてしまうわけですから、藤山雅行裁判官は逆に頼もしい限りの方でした。その頃言われたのは、「国破れて3部あり」という言葉でした。ご存知、中国唐の時代の杜甫の漢詩「国破れて山河あり、城春にして草木深し」をもじったものです。あまりに行政側に不利な判決を言い渡したので、異動させられてしまいました。その方は昨年名古屋家庭裁判所長として赴任され、私もある席でご一緒させてもらいましたが、1年で名古屋高裁判事にかわりました。ただ、以後の控訴審、上告審ではほとんどの判決は棄却されていますが、、、
今月中には平成28年度予算案が成立してしまいますが、今の国会審議に注目していきたいと思います。というわけで、私は当初2月の予定を変更し、来月税制改正についてのセミナーをある団体にしなければならないので、これから資料づくりをしなければなりません。断りきれず、余分な仕事ができてしまいました。こうしたことも若い人にやってもらわないと疲れますね。